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===================================== 〔語彙分解〕的な部分一致の検索結果は以下の通りです。 ・ ー : [ちょうおん] (n) long vowel mark (usually only used in katakana)
ティップ(英語:Tip)はビリヤードで利用されるパーツのひとつで、キューの先端につけられる厚み5〜9mm、直径9〜14mmの小片。革、合成樹脂などでできており、キューミスを減らし、手球に回転を与えるために利用される。日本ではタップとも呼ばれている〔「タップ」という呼称は正しくないが日本ではこれが広く定着しており、専門の雑誌や書籍でも「タップ」と表記されている。なお、スヌーカープレイヤーは正しい呼称を使って呼んでいる。〕。 ビリヤードの競技中にプレイヤーが撞くボール「手球」に対して、実際に接触が許されているのは唯一このティップだけであり〔直接手に持つことが許されるのは、相手がファールを犯した場合やブレイクショットの際に手球をキッチン内に置きなおす場合に限定される。〕、何度も手球と接触を繰り返すために耐用性が求められるなど競技において重要な部分を占めるパーツである。 材質や構造、染料による色合い、ティップ自身の硬さや弾力、撞き味がそれぞれの種類ごとに異なり、それらがティップの個性や特性となるため、自分のプレイスタイルに合ったティップを求めるプレイヤーは多い〔CUE'S(2005年10月号 p.14)〕。 ==来歴== 1807年、フランスのパリでフランソワ・マンゴーによってティップが発明された。それまでのビリヤードでは単なる木の棒でプレイされており、先端に丸みをつけ「マジック・パウダー」と呼ばれた石灰の粉を塗る方法で僅かながら手球に回転を与えていた。このティップの発明により手球とキュー先の接触時間〔須藤路久がハイスピードカメラを用いた測定実験を行ったところ、手球とティップの接触時間は0.0015秒であった。須藤 p.152〕が長くなり、効率よく安定した回転を手球へ与えることが可能となった〔CUE'S(2005年10月号 p.14)〕。 後年、炭酸カルシウムに研磨剤などを混ぜた現代的なチョーク「スピンクス・チョーク」が発明されたことにより、手球に与えられる回転力はさらに向上し、同時にキューミスの確率が減った。近しい時期にフランソワ・マンゴーはキューをほぼ垂直に構えて上から打ち降ろし、手球に強烈な回転をかけるマッセのストロークを開発、そしてマッセという言葉自体を広めた〔CUE'S(2005年10月号 p.30)〕。マンゴーはさらに後年となる1827年にビリヤード史上初となるアーティスティックビリヤードに内容を限定した本を出版するに至る〔。 1983年、上質で厚みのしっかりした牛革の入手が困難となったことから、日本のキャロムビリヤードのプロ選手(JPBF)毛利秀夫が薄い革を張り合わせて厚みを持たせた積層ティップの試作品「エキスパート」(後のモーリティップ)を発明した。試作段階では薄い革の研究を行い、最初は上質の牛革を貼り合せたものを完成させた。しかし、厚みのある牛革を薄くスライスすると元々持っていた強度が失われてしまうなどの理由により、さらに材質を模索、最終的に豚革へ至った〔CUE'S(2008年7月号 p.87)〕。このような積層ティップは元々キャロムプレイヤーのために開発されたが、後にポケットビリヤードのプレイヤーにも受け入れられた〔CUE'S(2005年10月号 p.31)〕。また、このように材料を「張り合わせる」という構造にヒントを得たプレデター社が木材を張り合わせて作るハイテクシャフトの先駆「314シャフト」を開発したとまで断言する人もいるほど、この積層ティップは画期的な発明であった〔CUE'S(2008年7月号 p.86)〕。 1992年、モーリティップの量産販売が開始される。手作業による制作のためしばらくは生産量も少なく、一般に知れ渡るほどではなかったが、1994年のアメリカでは「恐るべき新ティップ登場」という話題で持ちきりとなり人気が出始めた〔。正規のディーラーが存在しなかったためディーラーの志願する電話がアメリカ国内から殺到した。志願者の中にはカスタムキューメーカーのジナも含まれていたという〔後にジナキューの純正ティップとしてモーリが付けられることとなった。〕。しかし、毛利は日本での認知度が上がりつつある現況と、ディーラーが設定する販売額が高いこともあり、このときはディーラー販売を行わなかった。そのため海賊版が横行し、販売ルートを辿るうちに高値を付け、日本では1300円前後で売られているものがフィラデルフィアでは90ドルという値段で取引されるような事態も起きた〔。 1996年、キャロムビリヤードの本場であるヨーロッパでの需要を見込み、オランダにモーリティップの販売代理店が置かれたこともあり、モーリティップは徐々にヨーロッパで浸透していった。日本では翌1997年頃から人気が出始めた〔CUE'S(2005年10月号 p.28)〕。このような人気の加速に生産量が追いつかなくなったことから毛利秀夫は特注の機械を導入、大量生産を可能とすると同時に品質の均一性を高めた。この機械の設計には毛利自身も携わっている。 2000年頃、ポケットビリヤードにおけるブレイクショット、ジャンプショットを行うために特化した合成樹脂製のティップが広まる。2001年には先角・ティップが一体型のブレイクキュー「スレッジハンマー」が登場。硬さがあり、反発力が強い合成樹脂ティップを備えたブレイクキューがトレンドとなった〔CUE'S(2006年5月号 p.77)〕。 2007年、モーリティップが業界初とも言えるティップの個別包装を開始する。包装はブリスターパックにて行われ、真贋を見分けるためのホログラムシールが付与された。このホログラムシールは専用のビュワーを用いて覗くことで本物のモーリティップであるかどうかを確認できるようになっている。このような対策は偽物が横行することを防ぐものであったが、偽物対策を施したことに対しての評価は高く、モーリティップの人気が再燃するキッカケとなった〔CUE'S(2008年1月号 p.35)〕。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「ティップ (ビリヤード)」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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